

コロナ禍によるテスター制限や顧客ニーズの多様化を背景に、小売業界では“納得感のある接客”がこれまで以上に求められています。
そうした中、はちみつや健康食品で知られる山田養蜂場は、AI肌診断ツール『スキンケアプロ』を導入し、接客品質の向上と化粧品事業の拡大を目指した取り組みをおこなっています。
本インタビューでは、導入の背景から現場での具体的な活用方法、そして今後の展望まで詳しくお話を伺いました。

――まず初めに、スキンケアプロを導入しようと思ったきっかけを教えてください。
当社はこれまで「はちみつの会社」としてのイメージが強く、食品・健康食品ブランドとして広く認知されてきました。一方で、今後は化粧品事業のさらなる強化を図る方針となり、お客様のお悩みをより深く引き出すカウンセリング接客の重要性が高まっていました。
そうした背景から、店舗営業部では、お客様とのお話のきっかけを自然に生み出せるツールを求めていたのが始まりです。
――導入前に特に改善したいと考えていた課題は何でしたか?
導入当時はまだコロナの制約が残っていて、店頭でテスターをお試しいただくのが難しい時期でした。そのため、「なぜこの商品があなたに必要なのか」という客観的な根拠をしっかり示して、お客様に心から納得して選んでいただける接客を目指したい、というのが一番の課題でした。
――数多くある肌診断サービスの中で、スキンケアプロを選んだポイントは何でしょうか?
一番は解析スピードの速さです。通りがかりのお客様や、限られた時間の中でも気軽に体験いただけることを重視していました。
加えて、診断の最後におすすめ製品まで表示される点も魅力でした。単に肌状態を数値化して終わりではなく、総合的なアドバイスをしながら、自然な流れで自社製品をご案内できる。
この「診断から提案までがセットになっている」という仕組みが、現場で使うツールとして非常に魅力的でした。

――導入前に心配していた点や懸念はありましたか?
二つありました。
一つは、店舗スタッフの年齢層が高く、デジタル機器に苦手意識を持つ方が多いこと。 もう一つは、診断項目が豊富な分、結果を正しく理解してお客様に適切なご案内ができるかという点です。
――その懸念点は解消されましたか?
操作が非常に直感的でスピーディーだったため、デジタルが苦手なスタッフもすぐに使用できるようになりました。製品案内については、季節ごとの推奨製品に関する研修を強化することで、自信を持って提案できる体制を整えている最中です。
――現在はどのような体制で運用されているのでしょうか。
現在は2店舗に常設していますが、それ以外の全国11店舗でも、イベントに合わせてスポットで活用しています。イベントのときだけ初めて触るというスタッフも多いのですが、開催の1週間前には機器を送って慣れてもらうようにしています。
今のところ「使い方がわからなくて困った」という声は一度も上がっておらず、皆さんかなりスムーズに操作できているようです。

――現場スタッフの反応と評価はいかがですか?
現場の声を集約すると、大きく3つの手応えを感じています。
まず一つ目は、接客効率が劇的に上がったという点です。わずか30秒ほどで解析が終わるので、お客様をお待たせしませんし、スタッフも瞬時にお肌の状態を把握できます。双方の負担がぐっと軽くなりました。
二つ目は、経験の浅いスタッフでも自信を持って提案できるようになったことです。診断結果と一緒に、具体的なアドバイスやおすすめ製品が画面に表示されるため、勤務歴に関わらず接客のクオリティを一定に保つことができています。
そして三つ目は、会話のきっかけ作りとしての役割です。肌診断を通じて自然に会話が弾み、お客様との距離が縮まります。信頼関係が築けた状態でタッチアップへ進めるので、接客の流れが非常にスムーズになりました。
――数字としての成果や、スタッフの意識変化はありましたか?
化粧品の新規獲得率が向上しています。
また、カウンセリングに苦手意識のあったスタッフが、スキンケアプロをきっかけに成功体験を積み、「自分にもできる」と自信をつけてくれたことが何より嬉しい変化ですね。

――お客様からはどのような反響はいかがでしょうか?
「今後も定期的に測定して変化を見たい」という、継続的な来店に繋がるお声を多くいただいています。また、既に愛用されている方からも「今のケアで間違いないんだ」と、ブランドへの信頼がより強固になったと感じる場面も多いです。
――食品を目的に来られたお客様が、化粧品を購入されるケースも増えていますか?
はい。食品のみを購入されていた方に「AI診断をやってみませんか?」とお声がけすることで、初めて化粧品をご購入いただくケースも増えています。
特にイオンモール岡山店では、店頭にライト付きのディスプレイを設置しているのですが、通りがかりの方が「何だろう?」と足を止めて興味を持ってくださって、そのまま自然な流れで肌診断へ進まれる……という良いサイクルが生まれています。

――すごくいい導線設計ですね。そういった工夫は店舗スタッフにお任せしているのでしょうか?
はい。実は今回のディスプレイの形も、本社からの指示ではなく、岡山店の店長のアイデアなんです。「こういう風に設置した方が、お客様のお顔も綺麗に映るし、撮影自体をより楽しんでもらえるんじゃないか」と。
現場のスタッフが「どうすればお客様に喜んでもらえるか」を自分たちで考えて形にしていく。そうした店頭ならではの創意工夫が、結果として新しいお客様との出会いに繋がっているのだと感じています。
――今後、肌診断をフックにした新たな企画はありますか?
顔のストレッチ(顔ヨガ)とタッチアップを組み合わせ、ビフォーアフターを数値で確認する企画を検討中です。また、美容サプリメントとのクロスセル(合わせ買い)の強化や、より単品単位で詳細なレコメンデーションができるよう、機能を深掘りしていきたいですね。
――最後に、今後の抱負をお聞かせください。
私たちには「一人の人のために」という企業理念があります。家族の健康を願う気持ちから始まったこの創業の精神を大切に、お客様を家族のように思い、お悩みを解決できる身近な存在であり続けたい。
最新のデジタル技術も活用しながら、温かみのあるカウンセリングをより一層強化してまいります。
今回の取材で印象的だったのは、山田養蜂場様が掲げる「一人の人のために」という想いが、AIを通じて体現されていた点でした。
AIを単なる効率化の道具ではなく、お客様一人ひとりに寄り添い、対話を深めるための「架け橋」として活用する。テクノロジーを導入しながらも、最終的には現場の創意工夫や「人の温もり」を大切にするその姿勢は、デジタル時代のホスピタリティの在り方に新たなヒントを示してくれます。
パーフェクト株式会社は今後も、AI技術を通じて、心に残る顧客体験の創出を支援してまいります。美容・ヘルスケア領域でのAI活用をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
パーフェクト株式会社は、日本、アメリカ、ヨーロッパ、台湾、中国、インドに拠点を構えています。 お客様のニーズや予算規模に合わせた柔軟なソリューションを提供しており、現在700以上のコスメ・ファッションブランドとパートナーシップを結び、10万点以上のコスメ商品を60か国以上で展開。
最先端のAR(拡張現実)およびAI(人工知能)技術を活用したサービスを、美容・ファッション業界のブランドや小売店に提供しています。