

デジタル上での顧客体験が購買を左右する今、化粧品ブランドには「試せない不安」をいかに解消するかが問われています。
米国デコルテはその課題に対し、パーフェクト株式会社のAI肌診断とARバーチャルメイクを導入。
オンラインでも一人ひとりに寄り添う顧客体験を実現しました。
本記事では、エンゲージメント向上と売上成長を同時に実現した背景や、テクノロジー活用に込めたデコルテの思いについて、KOSEアメリカのゼネラルマネージャー、シャロン・デル・ヴァレ氏に話を伺いました。

――まず、デコルテのブランド理念について教えてください。
1950年の創業以来、デコルテは「内面の充実と外見の自信が生み出す、輝く美しさ」をコンセプトに、日本が誇る美を世界に発信してきました。芸術と科学、伝統と革新。その両立を掲げた創業者・小林耕三郎の思想は、現在のブランドづくりにも色濃く息づいています。
再生医療の知見を取り入れた最先端の皮膚科学研究を行うデコルテ ラボラトリーズは、世界的に著名な大学や研究者と連携し、スキンケア技術の進化をけん引してきました。また、オランダの著名なデザイナー、マルセル・ワンダース氏をアートディレクターに迎え、製品や空間デザインにおいても革新的な世界観を表現しています。
――今回、デジタル技術の導入を決めた背景は何だったのでしょうか?
私たちは、最先端の皮膚科学研究と革新的なスキンケア技術によって世界的な評価を得てきました。だからこそ、AIやARといった先進テクノロジーを活用し、「楽しさ」と「納得感」のある新しいビューティー体験をお客様に届けたいと考えたのです。
――具体的には、どのような体験を構想していたのでしょうか?
私たちが目指したのは、AIとARを組み合わせた2つの体験でした。ひとつは、現在の肌状態を正確に把握できるAI肌分析。もうひとつは、デコルテの化粧品をより身近に感じてもらうためのARバーチャルメイク体験です。

――パーフェクト社のAI肌診断やバーチャルメイクを導入して、どのような変化がありましたか?
デコルテでは、導入以降、オンラインショッピング体験の質が大きく向上したと感じています。信頼性の高いAI肌診断の結果をもとに、お客様一人ひとりに合わせたパーソナライズドな情報やアドバイスを提供できるようになりました。単に商品を紹介するのではなく、「なぜその商品が合うのか」をきちんと伝えられるようになった点は大きな変化です。
――具体的な成果は出ていますか?
ウェブサイト上での平均滞在時間が32%向上、商品の売上も85%増加しており、ユーザーエンゲージメントと購買行動の両面で効果を実感しています。デジタル上での体験価値を高めることが、結果として売上にもつながっていると評価しています。
また、「バーチャルメイク」や「AI肌診断」を掲載したページでは、エントリー率(特定のページから始まった全訪問者の割合)が350%増加し、集客力を飛躍的にアップさせていることがわかります。
――オンライン上での体験づくりで、特に大切にしていることを教えてください。
私たちがオンラインの体験づくりで何より大切にしているのは、「信頼」です。画面越しであっても、お客様にきちんと寄り添えていると感じていただける体験でなければ意味がないと考えています。
AIやARの技術を活用することで、お客様はご自身の肌状態を理解しながら、今の自分に合ったデコルテの製品を見つけ、その場で気軽に試すことができます。
なかでも御社のAI肌解析は、7万枚以上の肌データをもとに、皮膚科医やスキンケアの専門家によって検証されている点に大きな信頼を置いていました。感覚やイメージだけに頼るのではなく、確かな根拠に基づいた情報を提供できることが、お客様の納得感につながります。
こうした一連の体験が、オンラインであっても安心して選べる環境をつくり、結果としてブランドへの信頼を育てていると感じています。
――店頭では、どのような価値を発揮していますか?
美容部員とお客様が同じデータを共有し、共通の目標を持ってスキンケアをスタートできることで、データに基づいた商品提案が可能になりました。
お客様ご自身が、水分・シワ・キメ・シミ・クマなど、どの部分を改善したいのかを客観的な数値から判断できる点は非常に大きいと感じています。人の感覚や経験だけに頼るのではなく、データをもとにした納得感のある提案ができることが、信頼関係の構築にもつながっています。

――デジタル化を進める前に、特に課題に感じていたことはありましたか?
最大の課題は、私たちの厳しい品質基準に見合う、精度の高いAI/AR技術を持つパートナーを見つけることでした。私たちは数百もの特許を保有する、テクノロジーを重視したブランドです。だからこそ、精度が不十分なシミュレーションでは、お客様の信頼を損ねてしまう可能性があります。 そうした中で出会ったのが、御社でした。
――弊社の技術を採用する決め手となったポイントはどこだったのでしょうか。
特に注目したのが、「肌の水分量」を正確に測定・可視化できる点です。肌のうるおいは、日本の美容においてすべての基本ともいえる要素。水分がしっかり満たされていることで、肌は健やかに輝き、なめらかな質感が生まれます。
ただ、肌のうるおいは多くの消費者が悩んでいる一方で、実はその対策方法は正しく理解されていないことも多いのが現状です。水分が不足すると、テカリや赤み、キメの乱れなど、さまざまな肌トラブルにつながりますが、逆に十分な水分が保たれていれば、肌と皮脂のバランスが整い、メイクの仕上がりにも良い影響を与えます。
御社のAI肌診断は、肌タイプや人種を問わず、瞬時に水分量をスコアとして提示できる点が非常に魅力的でした。数値として可視化されることで、お客様自身が自分の肌状態を直感的に理解できる。日本ならではのスキンケアの考え方や価値をグローバルに広めていきたい私たちにとって、まさに理想的なソリューションだと感じました。

――先ほど「日本ならではのスキンケア」というお話がありましたが、アメリカ市場と比べると、どのような違いがあるのでしょうか?
日本のスキンケアは、とても丁寧で理論的だと感じています。まずダブルクレンジングから始まり、肌への負担を抑えながら、汚れをきちんと落とすことを大切にしています。私自身、若い頃は「きれいにしなければ」という思いから、熱いお湯で強くこすってしまっていましたが、日本では肌を傷つけないよう、やさしくいたわるように洗うという考え方が根付いています。
もうひとつの大きな特徴は、複数の保湿アイテムを“層”のように重ねていくケアです。アメリカでは、1種類の保湿剤でシンプルにケアを完結させることが一般的ですが、日本では肌の状態を見ながら、複数のアイテムを段階的に重ねて水分を補い、逃がさないという考え方が根付いています。
水分を与える、なじませる、そして閉じ込める――こうしたプロセスを丁寧に行うことで、肌の水分量を長時間キープし、健やかな状態へと導いていく点が、日本のスキンケアならではの特徴だと感じています。
――そうした丁寧なステップを伝える上で、AI診断が役立っているということですね。
その通りです。AI肌診断を使えば、自分の肌状態をスコアとして、しかも楽しみながら確認できます。水分不足が原因で起きている肌変化も一目で分かるため、「なぜこのケアが必要なのか」を感覚的に理解できるようになります。
私たちは、スキンケアは手軽で、そして楽しいものであるべきだと考えています。楽しい体験があれば、学ぶことも自然と簡単になります。AI肌診断の技術と製品の技術、そしてオンラインでのユーザー体験が組み合わさることで、お客様は商品を手に取る前からスキンケアを前向きに楽しめるようになります。その結果、自分の肌への理解が深まり、目標に向かうモチベーションも高まっていると感じています。
――メイクアップ分野でのAR導入についても教えてください。導入前には、社内でテストも行われたそうですね。
はい。まずはお客様にお届けする前に、私たち自身が実際に体験してみました。そこで一番驚いたのが、再現性の高さです。リップやアイシャドウを一瞬で何十色も試せる体験は、まるで子どもの頃、初めてメイク道具を手にしたときのような、純粋なワクワク感がありました。
店頭ですべての色を試そうとすると、どうしても時間や手間がかかってしまいますよね。その点、ARなら制限なく、気になる色をどんどん試すことができます。つい、あれもこれも試したくなる感覚こそが、お客様にお届けしたい価値だと感じました。

――そのワクワク感は実際の成果にもつながっているのでしょうか?
はい、しっかりと数字にも表れています。AI肌診断とバーチャルメイクを導入してから、ウェブサイトの平均滞在時間は32%増加しました。楽しみながら商品を試していただくことで、自然と一つひとつの商品を深く知っていただけるようになったのだと思います。
中でもリップ製品の『ザ ルージュ』は、市場浸透率が155%増加するなど、非常に大きな反響を得ています。
――弊社との提携を振り返って、改めて感じることはありますか?
最も印象に残っているのは、技術が止まることなく進化し続けている点です。導入当初は測定項目が5つでしたが、その後、水分量の測定など新たな指標が次々と追加されました。その姿勢を見て、私たちと同じく「ユーザー体験の向上」に真剣に向き合っているパートナーだと感じました。 これからも進化し続け、画期的なソリューションを開発してくれると信じています。
――最後に、これからの展望についてお聞かせください。
テクノロジーの力によって、お客様は場所や時間に縛られることなく、デコルテの製品に触れ、理解し、楽しめるようになりました。オンライン上で丁寧に商品を体験していただくことが、実際の購買にも確実につながっていると実感しています。
今後も、最先端の研究成果とデジタル技術を組み合わせながら、お客様一人ひとりの肌や悩みに寄り添った提案を続けていきます。

パーフェクト株式会社は、日本、アメリカ、ヨーロッパ、台湾、中国、インドに拠点を構えています。 お客様のニーズや予算規模に合わせた柔軟なソリューションを提供しており、現在700以上のコスメ・ファッションブランドとパートナーシップを結び、10万点以上のコスメ商品を60か国以上で展開。
最先端のAR(拡張現実)およびAI(人工知能)技術を活用したサービスを、美容・ファッション業界のブランドや小売店に提供しています。