多くの人の日常で欠かせない「化粧品」。
しかし、店頭でお買い物することにハードルを感じていた人も少なからずいます。
そのような人たちの「声」を聞いてみると、以下のような意見が集まりました。
- あまり時間がないけれど、隙間時間で化粧品を買いたい。
- デパートの化粧品売り場でのマンツーマンでの接客が苦手。
- 似合わないものをすすめられそうで気が乗らない。
- 化粧品を試すところを誰かに見られることが恥ずかしい。
- 美容部員からのアドバイスは聞きたい。でも、もっとサクサク化粧品を試したい。
時間的制約、コミュニケーションの面倒さ、人前で素顔を出すことの抵抗感など、さまざまな理由によって店頭で化粧品を購入することをためらう人がいるのは事実です。
さらには新型コロナウイルス感染症の蔓延をきっかけに、店頭テスターを提供するかなどの問題をはじめとする、化粧品業界としての在り方や顧客エンゲージメント創出方法も転換期を迎えつつあります。
今こそ化粧品をもっと気軽に買い求めたい顧客層にとっても、そして企業側にとっても、より快適に化粧品のタッチアップが試せる「ツール」が両者の架け橋になるタイミングと言えるでしょう。
そこで今回は、最新AR技術を使った化粧品販促ツール「バーチャルメイク」についてと、導入した企業の事例などをご紹介いたします。
バーチャルメイクとは
バーチャルメイクとは、AR技術を活用して利用者に擬似的にメイクアップを施せる機能のことです。
スマートフォンやタブレットなどのカメラ機能を通じて利用者の顔を認識し、その上にアイカラーやファンデーション、リップなどをバーチャルで施し、利用者は気になる化粧品を使った自身の顔を確認することができます。
バーチャルメイクのニーズの高まり
新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、デパート等の小売店舗では感染予防の観点から化粧品テスターにもビニールシートがかけられ、自由に試すことができなくなっています。
そのため、従来おこなわれてきた美容部員による顧客にメイクを施して使用感をお試しいただく体験も自粛せざるを得ない状況が長く続いています。
今後もすぐに回復することは見込めない中、「非接触型ツール」としてのARメイクシミュレーションのニーズは日々高まっています。
※ARとは?
ARは、「Augmented Reality」の略で、日本語では「拡張現実」と呼ばれています。
現在、エンターテインメント分野ではゲームやイベントで利用されているほか、産業分野では業務効率や生産性向上に使われています。
ARは企業の広告・プロモーション・販売促進など、幅広く活用されている技術です。
販促ツールへの進化:ARメイクシミュレーション
AR技術が実際に私たちの生活にとって身近な存在となり得ているのかどうか、これを端的に表す現象としては、若年層から浸透・ヒットした「SNOW」や「Snapchat」などのカメラアプリが挙げられます。
これらのアプリはARを搭載し、手軽に自分自身で写真補整ができることで、「可愛く見せたい」「盛りたい」と考える層のニーズをつかむことに成功し、急速な広がりをみせました。
総務省によると、2018年に10.9億ドルの市場だったAR/VR市場が、2021年には3倍以上の36.1億ドルになることが予測されています。
今後もAR技術を使ったさらなる開発とリリースが予想されています。
【世界のAR/VR市場規模等の推移及び予測】
※出典:総務省「第1部 特集 進化するデジタル経済とその先にあるSociety 5.0」
AR技術が販促ツールへ本格導入
2020年のコロナ禍以降、小売店舗の売り上げは度重なる緊急事態宣言などにより大きな影響を受けています。
これによって、これまで不況知らずであった化粧品業界も未だかつてない転換期を迎えました。
そんな中、AR技術を使って自分の顔を変えられるという「遊び体験」は、小売店舗に導入することで再び顧客を呼び込み、「安心安全なタッチアップを叶える」販促ツールへとなっています。
現在、資生堂、カネボウ、花王など主要ブランドでも導入されて、売上が数倍になるほどの成果を上げています。
バーチャルメイクの活用
パーフェクト株式会社(以下「パーフェクト」という)のAR技術を活用したバーチャルメイクを導入することによって、顧客側にもたらされるメリットだけでなく、企業側にも様々な変化が得られています。
ここでは導入した企業の一社である「カネボウグループ」の事例を取り上げます。
カネボウグループのDX化
カネボウグループでは、コロナ以前からすでにデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている中、2020年から本格化への歩みを進めました。
それは同社ブランド「LUNASOL」や「KATE」のメインターゲット層が20代のため、「デジタル」や「SNS」などが身近で使い慣れているデジタルネイティブ世代であったことも背景にあります。
そんな同社のDX化が加速する契機となったのは、「コロナ禍」。
例えば2020年以降、三密の回避のため店頭での接客などに制限がかかる中、LUNASOLでは消費者行動の変化を見越してバーチャルメイクを本格的に販促ツールとして導入しました。
バーチャルメイク体験数は前年比272%上昇
バーチャルメイクを販促ツールとして導入以降、LUNASOLにおける2020年のバーチャルメイクトライ数は対前年比272%アップを記録しました。
この数字の伸びはコロナ禍で店頭テスター利用に制限がかかって以降、顕著に見られるようになっています。
また、製品プロモーションの時期にも重なったことで、公式サイトをはじめLINE、EDM、SNSなどの告知による流入によっても後押しされる結果となっています。
元々、デジタルとの親和性の高い顧客層を多く抱えていることから、コロナ禍であっても顧客エンゲージメントを保つことに成功している事例と言えます。
数々のARメイク導入事例
美容業界において、バーチャルメイク技術は急速に普及しており、様々な企業や個人が積極的に取り入れています。
さまざまなブランドやプラットフォームがこの革新的な技術を活用し、顧客に最新のコスメ商品を体験させることで、市場での競争力を高めています。
最新のバーチャルメイク技術と豊富な導入事例をぜひご参考になってください。
パーフェクト社のバーチャルメイクについて
それではパーフェクトが開発・提供しているバーチャルメイクについて、どのような特徴があるかについてご紹介いたします。
業界最高基準テクノロジー
パーフェクトでは、最先端の AR (拡張現実) や AI (人工知能) の技術を応用し、お客様に最高の購買体験を提供するサポートをするために、高精度なバーチャルメイクを化粧品ブランドや小売店向けに提供しています。
今までは時間の制約上、厳選して数本しかタッチアップできなかった顧客も、この技術によってわずかな時間の間にリップやアイシャドウを何十色も試すことが可能となりました。
「テスター選び・テスター用の筆やチップに取る・直接塗る・リムーバーでオフする・違うカラーにチャレンジする」という一連の流れをすべてバーチャルで行えるため、顧客にとっては負担が大幅に減りつつ、幅広く快適に化粧品のアイテムを選べる環境を実現しています。
顧客目線での化粧品選びを実現
百貨店では同じフロア内に別のブランドが数十店舗も入り、それぞれが独立しているために、顧客がリップ1本を買い求める際にも違うブランドのブースを渡り歩かなくてはならず、多くの時間を要していました。
バーチャルメイクではこうしたブランド間の障壁をなくし、よりフラットに自分に似合う化粧品選びを実現させることに成功しています。
顧客目線での「便利・楽・時短」な導線は、結果的にも化粧品の購入へと結びついています。
最新技術でリアルに表現
化粧品を検討する際、同じ「レッド」のリップであっても、そのブランドのもつ発色や濃さ、テクスチャーなどの違いは多種多様です。
そうした「差」をリアルに再現するパーフェクトの技術を使ったバーチャルメイクを通して自身の顔で試すことで、顧客一人ひとりがより似合う商品を選択することができるという点でもメリットは大きいと言えます。
数々の賞を受賞
パーフェクトはAR&AI技術を活用したソリューションサービスで美容業界におけるDXを発展・推進した功績が認められ、2021年1月に「2021 BIG イノベーションアワード」、国内では2021年3月に「Japan BeautyTech Awards 2021」で特別賞を受賞しました。
世界的パンデミックの影響下、非接触型の接客が推奨される中でも、消費者に安心してショッピングをしていただけるように、また現代の消費者動向の変化にも敏感に対応できるよう、革新的なソリューションでビューティーテック業界を牽引する企業として世界的にアピールしています。
まとめ
パーフェクトの提供するバーチャルメイクは、化粧品業界において「接触型」から「非接触型」接客への転換をスムーズに促し、さらには新たな顧客獲得の一助となるデジタルソリューションとなります。
化粧品ブランドは、今後もウィズコロナ、アフターコロナに向けて、消費者行動を予測しつつデジタル技術を積極的に導入していくことが望まれます。
効率的かつ安心安全なメイクシミュレーションを実現するバーチャルメイクで、2023年以降も美容業界を盛り上げるための“起爆剤”となれれば幸いです。