近年、マーケティングの一環として「診断コンテンツ」を活用する企業が増えています。背景にあるのは、SNSやWeb広告などによる情報の飽和。ユーザーは数多くの情報の中から、自分に最適なものを見つけたいという思いを強めています。
こうしたニーズに応える診断コンテンツは、ユーザーが楽しみながら自分に合った情報を得られる体験を提供し、ブランド理解から購買までを自然につなげる有効な手法です。
本記事では、診断コンテンツが注目を集める理由や導入メリットを整理し、各業界の成功事例をもとに、効果的な活用方法を紹介します。
診断コンテンツとは?

診断コンテンツとは、ユーザーが質問に回答したり、画像や行動データを入力したりすることで、その人に合った結果や提案を提示するインタラクティブ(双方向型)のデジタルコンテンツです。
代表的な例として、以下のようなものがあります。
- 適職診断
- 肌診断
- パーソナルカラー診断
- 骨格診断
- 性格診断
ユーザーにとっては、自分の特徴や好みを楽しみながら知ることができるため、満足度が高く、興味や関心を高めやすい点が特徴です。
一方で企業にとっては、ユーザーの回答データを通じて、性格・価値観・嗜好・行動パターンといった顧客インサイトを可視化できる貴重なマーケティング手法となっています。
最近では、「AI肌診断」や「MBTI診断(16 personalities)」のように、診断コンテンツが注目を集めており、エンタメ要素だけでなく、“信頼性”や“納得感”のある体験として、多くのユーザーに受け入れられています。
診断コンテンツが注目される5つの理由

診断コンテンツは、ここ数年で大きな盛り上がりをみせており、多くの企業がマーケティング施策として導入するようになりました。その人気の背景には、次の5つの理由があります。
① 体験型のコンテンツが求められているから
情報があふれる今、ただ「見る」「読む」だけでは心を動かせません。診断コンテンツは質問に答えるプロセス自体が“体験”となり、楽しみながらブランド理解を深められます。記憶に残りやすく、満足度の高い体験を提供できます。
② SNSでシェアしたくなる仕組みがあるから
診断結果は「私、こんなタイプなんだ!」という共感を生み、SNSで広がりやすい特性があります。 ビジュアル要素を加えることで投稿意欲が高まり、自然な口コミ効果で認知拡大につながります。
③ 一人ひとりに合わせた提案ができるから
今のユーザーは、たくさんの情報の中から「自分に合ったもの」を求める傾向がより強くなっています。診断コンテンツは、ユーザーの回答内容をもとに結果を自動でカスタマイズできるため、まさにパーソナライズされた体験を提供できる仕組みです。
④ さまざまなマーケティング施策に活用できるから
診断で得た回答データは、顧客理解を深める貴重な情報です。年齢・性別・嗜好・価値観などを分析することで、ターゲットのインサイトを明確化し、広告配信の最適化や商品・サービス開発など、さまざまなマーケティング施策に活用できます。
⑤ AI技術の進化で信頼できる結果が得られるから
AIや画像解析の進化で、診断の精度と信頼性が向上しています。顔写真から肌状態や顔型を分析するAI診断は、科学的な根拠に基づいた結果を瞬時に提示。楽しさと信頼性を両立する手法として注目されています。
診断コンテンツを活用したマーケティングの成功事例
コーセー「ハダミテ」
株式会社コーセーは、AI肌分析技術を活用したオンライン肌診断サービス『ハダミテ』を展開しています。 スマートフォンのカメラで撮影するだけで肌状態を数値化し、ユーザーに最適なスキンケア・メイクアップアイテムを提案。ECサイトへの自然な導線設計により、オンライン上でも店舗さながらのパーソナル体験を実現しています。
『ハダミテ』導入後には、テレビやSNSで話題となり、前月比 60 倍・前年比 306%のセッション数を達成しました。
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BULK HOMME「肌戦闘力診断」
男性向けスキンケアブランド「BULK HOMME(バルクオム)」は、リアルイベントで『肌戦闘力診断』を実施。AI肌分析を用いて、肌の健康状態を“戦闘力”としてスコア化し、ゲーム感覚で楽しめる仕組みを導入しました。
体験後には、商品サンプルの配布やカウンセリングを実施し、購買へと自然につなげる導線を構築。「肌診断=女性向け」という従来のイメージを覆し、男性層の関心を大きく引きつけた結果、開催期間中は連日多くの来場者で賑わいました。
ワコール「3D ボディスキャン」
株式会社ワコールの『SCANBE(スキャンビー)』は、3Dボディスキャナーによる全身18カ所の数値や3D映像を活用し、自分の体型データを可視化できるサービス。AIによる骨格診断やサイズ提案まで一気通貫で提供します。体型・サイズ課題を体験型コンテンツで解決し、ユーザーの関与と購買導線を強化しています。
coordimate「ファッション診断」
『coordimate(コーディメイト)』は自分のコーディネート写真を投稿するだけで、AIと一般ユーザーから「この服アリ?ナシ?」という評価やアドバイスが得られるアプリサービス。AI診断機能では全身画像をAIが解析し、シルエット・配色・バランスを評価します。ファッションというパーソナルな領域で、参加・共有・診断の体験をセットで提供し、ユーザーの興味を引く仕掛けです。
オルビス「パーソナルAIメイクアドバイザー」
オルビス株式会社の『パーソナルAIメイクアドバイザー』は、スマホアプリ内で利用できる、メイクを楽しむためのサポートツール。顔写真を撮るだけでAIがパーソナルカラー診断・フェイスプロポーション診断を実施。似合う色やメイク提案を出すことで、ユーザーに“自分に合うメイク”を即座に提案します。
診断コンテンツ導入・運用のポイント4つ

診断コンテンツは、技術・企画・データ・運用の4つの観点をバランスよく整えることで、ブランド体験の向上とマーケティング成果の両立が可能になります。
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
技術面
診断コンテンツの品質は、ユーザー体験の満足度に直結します。AIや画像解析、顔認識といった最新技術を活用すれば、より正確でスムーズな診断が可能になります。たとえば、スマートフォンのカメラで顔写真を撮るだけで肌状態を自動解析するシステムは、ユーザーに手間をかけずに高精度な結果を提供でき、家でも手軽にできるのがポイント。 導入時は、Webサイトやアプリへの組み込みやすさ、サーバー負荷などもあわせて確認すると安心です。
企画面
診断コンテンツは、「目的」と「活用方法」を明確にして企画することが重要です。
- 認知拡大を目的にSNS拡散を狙う
- 新規リード獲得を目的に登録導線を設計する
- 購買促進を目的に商品提案と連動させる
といったように、ゴール設定によって構成が大きく変わります。
さらに、ターゲット層の悩みや関心を反映した質問内容にすることで、体験の満足度が高まり、ブランドの好感度アップにもつながります。
データ面
診断コンテンツを通じて得られるユーザーの回答や属性情報は、マーケティングに活かせる重要な資産です。年齢や性別、好みや価値観といった情報を分析することで、ターゲットのインサイトを明確化し、商品開発や広告配信、顧客管理に活用できます。 また、アンケートよりも自然な形で情報を取得できるため、ユーザーの本音に近いデータが集まりやすいのも特徴です。診断を導入することで、「体験」と「データ活用」を同時に実現できる点が大きなメリットです。
運用面
診断コンテンツは、一度作って終わりではなく、継続的な運用がおすすめです。その際に重要なのが、誰でも運用できる仕組みを整えておくこと。更新作業を属人化せず、担当者が変わってもスムーズに管理できる体制を構築しておくことで、運用の安定性と継続性が高まります。 こうした仕組み化により、担当者の負担を最小限に抑えながら、長期的にブランド接点を維持できる運用が可能になります。
体験型マーケティングの時代へ――AI診断コンテンツが担う新たな役割
従来のように、広告を一方的に発信するだけではユーザーの心を動かすことが難しくなっている今、求められているのは、ユーザー自身が体験に参加し、自分に合った情報や価値を実感できる仕組みです。
AI技術を活用した診断コンテンツは、そのような体験を実現するための有効な手段として、幅広い業界で活用されています。精度の高い分析と手軽な導入を両立できることから、今後のマーケティングにおいてますます重要な役割を担っていくでしょう。
パーフェクト株式会社について

パーフェクト株式会社は、日本、アメリカ、ヨーロッパ、台湾、中国、インドに拠点を構えています。 美容・スキンケア・エステ・医療業界を中心にAIを活用した肌診断サービスを提供しています。
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