本稿では、美容、ファッション業界において、最新の技術であるメタバースとの関連性、活用手法の可能性について考察します。一見関係がなさそうな両者ですが、実は潜在的繋がりは、各方面で多いにあると考えられます。興味深い内容となっておりますので、ぜひご一読ください。
メタバースはそもそもどのような存在か
最近は、いろいろな場面で目にする言葉なので、聞いたことはある、何となく知っている、という方は多いと思います。美容やファッションとの繋がりをご紹介する前に、改めて「メタバース」が何を示しているか、確認しておきましょう。
メタバースとは
最初に、「メタバース」についてご説明します。英語での正式表記は“Metaverse”であり、「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語です。語彙的には宇宙を超越した存在、という意味になります。壮大な印象を与える言葉です。具体的には、コンピュータやネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる三次元の仮想空間を表します。また、その中で提供されるサービスのことも、この言葉を使って表現しています。
日本では、バーチャル空間の一種として捉えられることが多く、商業的な要素が含まれます。アバターと呼ばれる自分の分身を操作し、仮想の世界で買物をしたり、商品を製造販売したりと、もう一つの現実世界を想起させるような仕組です。
メタバースにおける化粧品・美容やファッション領域での活用
二種類の最新技術用語の概要を確認したところで、これらと美容領域やファッション業界との関連性について、活用例をもってご紹介してまいります。実際に有名ブランドを持つ企業各社が、様々な施策を打ち出していますが、具現化されたものはあまりなく、本格的な導入はこれから、という傾向が見て取れます。
バーチャル店舗
ブランドがメタバースに参入するにつれて、バーチャル店舗が新しい標準になりつつあります。仮想空間における店舗は、実店舗とオンラインストアを組み合わせ、消費者が買い物を楽しめる環境を提供します。
たとえば、米国のメイクアップブランドのToo Facedは、2022年1月に最初の仮想店舗を開始し、リアルな商品で満たされた豪華な仮想ショールームにユーザーを招待しました。 Charlotte Tilburyは、ユーザーが製品を閲覧する間、ビデオチャットで最大4人を追加することで、仮想店舗でのショッピング体験を新しいレベルに引き上げました。
バーチャルマーケット
テレビにも取り上げられたマーケットイベント。インターネットに繋がる環境さえあれば、誰でも入ることができる仮想空間です。会場に展示された様々な3Dアバターや3Dモデルなどを、自由に試着、鑑賞できます。もちろん気に入れば購入することも可能です。いくつかのアパレル・ファッションブランドが店舗を構えました。
メタバース空間そのものであり、ファッション業界での新しい販売チャンネルと言えるでしょう。とはいえ、実際の服を手に取るわけではないので、どちらかというとフェスティバル、お祭りのような感覚で提供され、空間そのものを楽しむことが目的とされているように見受けられます。
バーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」
航空会社系企業が提供するバーチャル空間です。三つのサービスの内の一つ、Skyモールでは、空港でのショッピングを疑似体験できます。空港売店での免税品の代表格と言えば化粧品ですが、このような取組により、美容領域での新たな商品売買形態になっていくかもしれません。
AI顔分析やAR化粧のメタバースへの活用
他の記事では、最新技術として、AI、ARをご紹介しましたが、これらのテクノロジーは、メタバースの世界でどのような利用が考えられるか、ご紹介します。
パーフェクト社「3Dバーチャルブース」での具体事例
AIによる精細な顔画像認識、ARによるバーチャルメイクといった技術は、パーフェクト社が得意とするところです。昨今の感染症伝播の環境下、米国現地での展示会出展に代わり、「3Dバーチャルブース」を出店し、その高い技術力をお客様に体感していただきました。
仮想的に出店した店舗を通じ、ARによるメイクだけではなく、化粧を施した自身のアバターを操り、各種化粧品商材を楽しむことを可能としました。リアルな化粧品をショップで確認することもでき、複合的にサービス提供できる空間づくりを行いました。
まさにメタバースの世界であり、現実世界とは異なる空間で、美容商品とのタッチポイントが、ますます増えていくことを予感させます。アクセサリーの試着といった、化粧品以外のサービスも提供されており、ファッション業界とのコラボレーションも実現しています。
パーフェクト社が考える美容領域やファッション業界とメタバースの将来展開
パーフェクト社は、現実空間での展示会への出店が困難な状況である中、バーチャルブースという新たな形態にて、ソリューション提供を模索してきました。その経緯を経て行きついた方策が、3Dバーチャルブースでした。次世代のオンラインショッピングとして、大きな可能性を秘めています。
今回の試みを踏まえ、パーフェクト社は、様々な気付きを得ました。今後ますますデジタルファーストの世界に移行する中で、消費者は物理的、仮想両方の空間で、美しさを求めていくようになると推察されます。メタバースは、他の領域同様、美容、ファッションにおいて、重要となってくるに違いありません。
また、AIやARを活用したバーチャルメイクにより、多様性が増し、自分だけの、自分に合った化粧品のニーズが高まることが予想されます。メタバースの空間でも、他社との差別化を図りたいがために、その傾向はより顕著になるでしょう。
現実と仮想の境界線は、これらかより曖昧になっていくでしょう。今まで培ったAI、ARの技術をさらに発展的に適用し、メタバースでのサービスを充実させる使命が、パーフェクト社にはあると考えられます。そして人々の美への欲求に、あらゆる形で対応していける準備を、すでに整えているのです。
ARを利用したバーチャル試着ソリューションを自社のウェブサイトやアプリに組み込むことができます。
詳細については、お気軽にお問い合わせください。
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■ パーフェクト株式会社について
パーフェクト株式会社は現在、台湾(本社)、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、インドに拠点を構え、ARビューティアプリ「YouCam メイク」を筆頭に、累計10億ダウンロードを超えるビューティーアプリシリーズの開発と、コスメブランドやファッションブランド、小売店向けに高度な顔認証技術とAI技術を利用して開発したメイクやアクセサリーのバーチャル体験をサービスとして提供する企業です。ビューティーとテクノロジー、ファッションとテクノロジーを融合させ、今までにない形で消費者とブランドを繋ぐプラットフォームを構築しています。現在400以上のコスメブランド等をパートナーとして迎え、10万を超えるコスメ商品を60か国以上で展開。お客様に寄り添った形でよりストレスが少なく、快適な購買体験をお楽しみ頂ける環境提供のサポートをして参ります。