美容業界のリーダーからデジタルパイオニアに
業界に関わらず、ブランドは2つのカテゴリーに分類される傾向があります。1つは知名度と高品質の歴史で確立されたレガシーブランド、もう一つが革新的な技術でレガシーブランドの地位を脅かす新興ブランドです。
Estée Lauder(エスティ ローダー)は、両方のカテゴリーで最高のブランドの一つです。確立された同ブランドは、長期的に変化する消費者のニーズに適応する技術に投資し、成功を収めてきました。
Jane Lauder 氏が登壇
2022年6月に、パーフェクト社がアメリカで開催したセミナーに、エスティ ローダー社の副社長、エンタープライズ・マーケティング及びチーフ・データ・オフィサー(Executive Vice President Enterprise Marketing and Chief Data Officer)Jane Lauder氏が登壇し、エスティ ローダーのDXの経験についてお話を聞かせていただきました。
高品質の製品とハイタッチな顧客体験に焦点を当てることで、同社は消費者と深いつながりを築き、最新のテクノロジーを活用してブランド戦略を推進しています。バーチャル試着などのデジタルソリューションは、美容業界のベンチマークとなっています。エスティ ローダーは、世界40か国、9つのブランドで高度なバーチャル試着ソリューションを展開しており、さらにユーザーの活性化のため、毎年新しいの取り組みを強化しています。
オムニチャネル・カスタマーエクスペリエンスへの挑戦
オムニチャネル・カスタマーエクスペリエンス・デザイン
オムニチャネル・カスタマーエクスペリエンス・デザインとは、ひとつのチャネルにおける特定の種類のやりとりだけでなく、顧客とブランドとのやりとりの全体的な質に着目したユーザーエクスペリエンスのアプローチです。
オムニチャネルは、あらゆるチャネルでシームレスな体験を提供するため、お客様の視点からは決して「ギャップ」は感じられません。デジタル化が進んでいる近年、今まで以上にオムニチャネル・カスタマーエクスペリエンスが重視されています。
パンデミック中のエスティ ローダー
アメリカでは、2年前に起きたパンデミックのロックダウンを受けて、対面でのカウンセリングや試着が必要な美容ブランドは、デジタル化の必要性に迫られました。
そんな中、エスティ ローダーは時代を先取りしていました。同社は、パンデミック以前から店舗でバーチャル試着を採用し、消費者のニーズに応えていました。
ロックダウンが始まった際、エスティ ローダーはすでに顧客デジタル体験の基礎を築いていました。一夜にして戦略変更に迫られたブランドとは異なり、同社は既存のインフラを活用・拡張し、販売とブランドロイヤルティを促進することができました。
「ロックダウンで全ての店舗が休業したとき、私たちはビジネスの最も重要な分野の1つとして、バーチャル試着とライブチャットを使用しました。」 エスティ ローダーのエンタープライズマーケティングを担当し、副社長兼チーフ・データ・オフィサーであるJane Lauder氏は述べています。
「バーチャル試着を利用すれば、オンライン上の美容アドバイザー、クリニックのコンサルタント、MACメイクアップ・アーティストから試着のアドバイスを1対1で受けることができます。」
このイノベーションは始まりに過ぎませんでした。今日、消費者は多くのチャネルでブランドとのインタラクトを求めています。ブランドの義務は、消費者がどこにいても同じレベルのサービスを提供することです。ブランドは、高度なAR・AI技術を通じて顧客密着型のオムニチャネル体験を生み出し、エンゲージメントを向上させることができます。
顧客ニーズに適応するテクノロジー
消費者のニーズは常に進化していますが、美容や化粧品の消費者は「自分のため作られている」特別な体験を常に求めていることは変わりません。買い物が店舗内で行われていた頃は、そのようなパーソナライズ体験がシンプルで、店頭カウンセリングによって実現されました。
しかし現在、ネットショッピングの普及で、消費者はブランドのデジタルと店頭チャネルの融合を求めています。 エスティ ローダーが提供する顧客体験は時代を先取りしていました。
同社は、デジタル時代以前にMarquee Brandとしての地位を確立し、店舗でバーチャル試着を提供、バーチャル・フィジカルのハイブリッドモデルを採用していました。同社のデジタルの取り組みは、美容業界で最も進んだイノベーションの一つです。
▼エスティ ローダーがバーチャル試着ソリューションを採用
傘下ブランドへの展開
たとえば、消費者の需要がソーシャルチャネルに移行したとき、エスティ ローダーは即座に対応できました。自社のMACブランド化粧品の販売促進のために、Perfect社と提携し、購入可能な試着アイテムを開発し、展開しました。
「購入可能な試着アイテムを作ったのが、弊社初めての取り組みだと思います。」とLauder氏は言います。 「その結果、トラフィックは急増し、多くの新しい顧客が試せるようになりました。」
メタバースを含む、顧客体験が新たなフロンティアへと進化し続ける中、エスティ ローダーはオムニチャネル体験を開拓し続け、顧客がどこにいてもつながることができるようにしています。
「野心的な知性」の重要性
店舗販売のブランドとして始まり、デジタルサービスに移行したエスティ ローダーにとって、絶好の機会が到来しました。しかし、同社が掲げる目標の中核にあるのは、パーソナライゼーションを通じて、より優れた1対1のハイタッチな顧客体験を提供することです。
バーチャル試着は万能のソリューションではなく、あらゆるレベルのカスタマイズとパーソナライゼーションの継続が重要です。
テクノロジーは、よりダイナミックな施策を可能にします。エスティ ローダーはテクノロジーを採用し、旧来型の対面型カウンセリング手法を取り入れることで、消費者と製品のつながりを築くことを可能にしました。1対1の体験をグローバルレベルにもたらし、AR試着を通して、世界中の何億人もの消費者に、独自のブランドインタラクションと製品解説を大規模に提供します。
「私たちはそれを野心的な知性と呼んでいます」とLauder氏は言います。 「私たちにとって、それは単に消費者のニーズを満たすことでも、テクノロジーを使用してニーズを満たすことでもありません。消費者が何を望んでいるか予測し、そのの希望を実現するのが重要です。将来、企業がAI/ARテクノロジーを使ってハイタッチを推進するのはまさにこの分野だと思います。」
消費者行動から学ぶデータとテクノロジーの使い方
導入だけで終わらせない
現代の美容ブランドにとって、IT技術は不可欠ですが、以前弊社が開催したウェビナーでお話ししたように、導入するだけでは成功できません。消費者に新しい取り組みを提供するブランドは、消費者がどのような反応があるか、どのようにデジタルツールを使うか、そしてそれがブランド全体に何を意味するかを理解するのが重要です。
テクノロジーへの投資には常に疑問がつきものです。売上高は明確なベンチマークですが、エンゲージメントを中心にデータを分析するのも必要があります。消費者がバーチャル試着に費やす時間が長いほど、ブランドとのつながりが深まり、ロイヤルティが高まります。
「バーチャル試着を分析すると、リップの試着ではエンゲージメントが高いことがわかります。その後アイシャドウを塗ると、エンゲージメントがさらに高まります。」とLauder氏は言います。
「私たちは皆、真のROIと価値を理解する良い方法は、エンゲージメントレベルだと考えています。消費者がブランドと過ごす時間が長いほど、ブランドとサービスに深く関わり、より深いつながりを築くことができます。」
美容ブランドはあらゆるデジタルツールを自由に使用できます。重要なのは消費者の行動を理解し、ニーズを満たすテクノロジーをマッチせることです。バーチャル試着は、離れた場所にいる消費者のエンゲージメントを維持するための重要なステップでした。そして、ソーシャルプラットフォーム内で取り込みを行うことも、ブランドが消費者と出会うために不可欠でした。
美容業界は急速に変化しています。最先端テクノロジーに投資し続けるエスティ ローダーのようなパイオニアは、後続ブランドにとって参考になる存在です。
Jane Lauder氏の対談動画はこちらよりご覧ください。 (一部抜粋・英語)
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