ビジネスをしているとユーザー体験という言葉を良く聞くと思います。しかし、いまいちどんな意味なのかはっきりと理解していない人も多いのではないでしょうか。ユーザー体験とはこれからの時代を考える上で必須の要素なのです。本記事では美容業界を例に、ユーザー体験について解説します。
UX(ユーザー体験)とは何か?
ユーザー体験とは?
ユーザー体験とはUX(ユーザーエクスペリエンス)とも呼ばれます。これは商品やサービス、そしてWebサイトとの関わりの中で、ユーザーが得られる体験です。体験というと「商品やWebサイトの品質」などを連想すると思いますが、それに限りません。例えば以下の要素は全てユーザー体験に含まれます。
- Webサイトで情報が探しやすいという体験
- ブログの文章が読みやすいという体験
- お問い合わせフォームが入力しやすいという体験
- Webサイトのコラムがおもしろいという体験
つまり、商品やWebサイトの機能的な価値だけではなく「楽しい」「おもしろい」「使いやすい」といった情緒面での価値を合わせた総合的な価値をユーザー体験といいます。
UXとUIの違い
UXと似た言葉にUIがありますが、これらはどこが違うのでしょうか。
まずUIとは、「ユーザーインターフェース」の略称です。これはユーザーとWebサイトとの接点を表します。接点とはWebサイトのデザインや画面遷移の仕方、フォント、文字の大きさ、入力フォーム、文章、画像、動画、音楽、などです。これらを合わせてUIと呼びます。
一方で、UXとはUIから得られる「主観的な体験」を表します。「楽しい」「使いやすい」「勉強になる」このようなユーザーの気持ちがUXです。UIよりもUXのほうが範囲の広い言葉と言えます。
なぜなら、UXはUIだけから得られるとは限らないからです。ブログの文章を読んだ印象や、Webサイトに表示されている電話番号にかけたときのスタッフの対応、商品を買うときにスムーズに買えるか、それらもまたUXに関係があります。
お客様が使いやすいようユーザビリティを上げることに重点を置いた「COFFmi」
ユーザー体験を向上させるメリット
UXを改善するメリットは商品やサービスの付加価値になる点です。
物の無い時代は便利な物を開発して売るだけで飛ぶように売れました。しかし、現代では社会に物があふれ、技術がコモディティ化し、ものづくりだけでは他社との差別化が難しくなってきました。
そこで、商品の機能的価値に、ユーザー体験という情緒的な価値を付加して、付加価値の底上げを行い、差別化をする企業が増えてきたのです。
実際にユーザーの動きを分析すると、ユーザーは商品の機能だけに注目して購入しているのではなく、総合的な体験に基づいて購入していることがわかりました。
ユーザー体験の向上は現代のビジネスにおいては必須の施策となっています。
美容業界におけるユーザー体験とは?
ユーザー体験を向上させ、多くの成果を上げている業界に美容業界があります。このセクションでは美容業界におけるユーザー体験について解説します。
ビューティーテックの導入によるエンゲージメント向上
美容業界におけるユーザー体験向上の取り組みとしてまず挙げられるのがビューティーテックの導入です。ビューティーテックの中でよく使用されているのは、AIやAR技術を用いてオンライン上でのバーチャル試着やバーチャルメイク、肌診断などの機能を提供するサービスとなります。
このようなWebモジュールを自社ECに搭載して、ユーザー体験を向上させる取り組みが行われています。
かつては美容業界やファッション業界においてECの需要はあまり高くありませんでした。なぜならECには「試着・試用できない」という欠点があり、これが原因で店舗に比べて大きくユーザー体験で劣っていたのです。
しかし、テクノロジーの進歩がこれを解決しました。オンライン上での試着や診断サービスをECに導入して「誰にも気兼ねなく試着・試用ができる」という店舗にはないユーザー体験を創出しています。
ECから店舗への流入の拡大
上記のようなECにおけるユーザー体験の向上は、ECから店舗への流入の拡大にも繋がります。
例えば、ジュエリーショップのECにおいて、ARを用いたバーチャル試着を導入します。すると、ユーザーはECサイト上で指輪をバーチャル試着して楽しみます。このとき、ユーザーの心には店舗に訪れて実際の指輪を試着してみたい欲求が一層喚起され、行動を促すのです。
ECにおけるユーザー体験は店舗におけるユーザー体験への呼び水となっており、店舗への流入拡大に繋げられます。
Web3.0との親和性
Web3.0とは昨今のビジネス界隈で話題のNFTやメタバースなどのテクノロジーを含めた、次世代のインターネットを指します。
メタバースとはAR技術を駆使した3Dの仮想空間です。将来はメタバースを利用してECのユーザー体験を拡張するようなビジネスモデルが増えていくでしょう。
例えば、メタバース上に仮想のデパートを作り、ユーザーは現実の自分と同じ体型のアバターを操作して、商品を試着する。気に入ったらその場で購入し、後日、現実の自宅に同じ商品が届く、といったモデルが考えられます。
これらの体験は今までのインターネットにはなかったものです。Web3.0の時代になるとユーザー体験から得られる付加価値は増大するでしょう。
美容業界におけるユーザー体験向上の成功事例
美容業界におけるユーザー体験向上の成功事例としてパーフェクト社の顧客事例を挙げます。
AR髪色シミュレーション機能導入でページ滞在時間が1.5倍に
カラーコスメブランドのgot2bは自社のEC上にパーフェクト社の髪色シミュレーションを導入しました。
導入の理由は、従来の毛束トレイだけではカラーリングの魅力が十分に伝えきれなかったからです。
パーフェクト社の髪色シミュレーションモジュールを導入して、ユーザーはECサイト上で自分にどのような色のヘアカラーが似合うかを気軽に試せるようになりました。
その結果QR経由のトラフィックのページ滞在時間が1.5倍になるなどめざましい成果を上げています。
バーチャルメイク導入でバーチャルとリアルを融合
プレステージ・コスメティック・ブランドのClinique(クリニーク)は以前からパーフェクト社のバーチャルメイクモジュールをECに搭載しています。ユーザーに合うファンデーションベースカラーと口紅をおすすめする体験を構築し、CV数が2.5倍になるなど成果を上げています。
このバーチャル試着は店頭でも活用されています。iPadをカウンターに設置し、ユーザーは自由にバーチャルメイクを利用できます。 また、美容部員も接客の際に積極的にバーチャルメイクを利用しています。バーチャル試着は手軽にさまざまなメイクのパターンを試せるので、より深い接客へ繋げるための入り口として最適なのです。
AIスキンケア診断導入でサイト滞在時間が32%アップ
デコルテはWebサイトにパーフェクト社のスキンケア診断モジュールを導入しました。
美容業界において、肌の水分量は消費者の多くが悩むポイントです。しかし、適切な対策方法があまり消費者に浸透していませんでした。
そこで、パーフェクト社のAI肌診断モジュールにより、ユーザーは自宅に居ながらにして手軽に自分の肌の水分スコアを計測できるようにしました。ユーザーは楽しい体験をしながら自分の肌の状態を確認し、適切な対策について学べるのです。
この施策により、Webサイトの滞在時間が平均32%増加し、売上は85%増加しました。
まとめ:ユーザー体験の向上によって商品に付加価値を付けよう
ユーザー体験とは、商品やWebサイトに付随する主観的な体験です。これを向上させれば、ユーザーは好んで商品を利用するようになります。美容業界においてAIやAR技術を用いたビューティーテックは、ECや店舗でのユーザー体験の向上でめざましい成果を上げています。ぜひ参考になさってください。
バーチャルメイク体験を導入してきた世界300以上のブランドのサポートをしてきた、パーフェクト株式会社のスタッフ一同が、貴社のデジタルトランスフォーメーションを全力でサポート致します。
ビューティーテックソリューションの詳細については弊社までお問い合わせください。
2022年「ビューティーテック完全攻略ガイド」をご一読ください
原作者: 












